スポーツ推進委員と総合型地域スポーツクラブ
スポーツ推進委員と総合型地域スポーツクラブの役割
1 スポーツ推進委員とは
スポーツ推進委員とは、スポーツ基本法の第32条に位置づけられた、市(区)町村教育委員会から委嘱される非常勤の特別公務員であります。
昭和36年に制定され、長年にわたりスポーツ振興の根拠法令としてその役割を果たしてきたスポーツ振興法で定められた体育指導委員が、平成23年8月24日付けで50年ぶりに改正されたスポーツ基本法により、スポーツ推進委員と呼称が変更になりました。
任務は、各市町村におけるスポーツの推進のための事業の実施に係る連絡調整並びに、スポーツに関する指導、助言や地域住民と行政のコーディネーター、スポーツ施策の推進役です。
現在、男鹿市では15名のスポーツ推進委員が活動しています。
○スポーツ推進委員に期待されている役割
非常勤公務員としての役割
公的性格を有しているスポーツ推進委員は、地域住民の体育スポーツの意志を行政に反映させ、その施策を地域社会の住民と密接に結びつける役割を担っている。
したがって、スポーツ推進委員は、もちろん得意とするスポーツ種目が考慮されながらも地域的配慮がなされて選任されるべきである。スポーツ種目の代弁者であるよりは、スポーツ選手を含みながらも、幼児から老人に至る地域社会すべての住民の意志を行政に反映させる役割を担っている。
生涯スポーツ振興事業の企画立案とスポーツの実技指導
実技指導を通じて、少数の住民と結びつくより、これらは他の指導者にまかせ、スポーツ推進委員としては、より多くの地域住民の体育、スポーツをどうすべきか、どのような事業に重点をおくべきか、指導者、協力者の発掘、育成をどうすべきかなど地域全体の振興事業の計画立案などに重点が置かれている。そして余力があれば実技の指導にあたるべきである。
具体的には
・実技指導よりも、自分の地域の2年先・3年先の青写真を行政と共に考えていく
・地域住民が自発的に結成し、自主的に運営する総合型地域スポーツクラブの設立にあたって核となり、行政と住民、また地域のスポーツ団体における調製役となる
・地域スポーツクラブで核となるスポーツ推進委員は、地域に根ざした人であるべき
2 スポーツ振興基本計画について
平成12年9月に文部科学省からスポーツ振興基本計画が示され、計画策定から5年間が経過した平成18年9月に改定されました。
スポーツ振興基本計画は、我が国の豊かなスポーツ環境のために、国が目指す方向とそのための施策を体系的に整理し、計画的に施策を推進し、一層のスポーツ振興を図るためのものです。
その内容は主に、以下の3点となっています。
スポーツの振興を通じた子どもの体力の向上方策
地域におけるスポーツ環境の整備充実方策
我が国の国際競技力の総合的な向上方策
○政策目標と施策
スポーツ振興基本計画の中では、具体的な政策目標と施策が示されています。
政策目標
・国民の誰もが、それぞれの体力や年齢、技術、興味・目的に応じて、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しむことができる生涯スポーツ社会を実現する。
・その目標として、できる限り早期に、成人の週1回以上のスポーツ実施率が2人に1人(50パーセント)になることを目指す。
施策
・10年間(2010年までに)で、全国の各市町村において少なくとも一つは総合型地域スポーツクラブを育成する
3 総合型地域スポーツクラブとは
総合型地域スポーツクラブとは、地域住民が主体的に運営するスポーツクラブの形態です。
総合型地域スポーツクラブを育成することは、完全学校週5日制時代における子供たちのスポーツ活動の場の整備にもつながるとともに、地域の連帯意識の高揚、世代間交流等、地域の活性化や再生にも寄与することが期待されています。
現在、男鹿市では2団体の総合型地域スポーツクラブが活動しています。
男鹿市総合型地域スポーツクラブ
総合型地域スポーツクラブAthletic Club GROWTH OGA
○総合型地域スポーツクラブの特徴と意義
総合型地域スポーツクラブの特徴
総合型地域スポーツクラブとは、主にヨーロッパ諸国などに見られる地域のスポーツクラブの形態で、子どもから高齢者、障害者まで様々なスポーツを愛好する人々が参加できる総合的なスポーツクラブのことである。
総合型地域スポーツクラブは以下のような特徴を有している。
①単一のスポーツ種目だけでなく、複数の種目を行っている。
②青少年から高齢者、初心者からトップアスリートまで様々な年齢、技術・技能の保有者が活動している。
③活動の拠点となるスポーツ施設、クラブハウスを有しており、定期的、計画的にスポーツ活動の実施が可能となっている。
④質の高いスポーツ指導者を配置し、個々のスポーツニーズに対応した適切な指導が行われる。
ヨーロッパ諸国においては、スポーツが生活の中に根付いており地域住民の多くがその土地の総合型地域スポーツクラブに加入している。総合型スポーツクラブは、地域住民にとって不可欠なものとなっている。
総合型地域スポーツクラブの意義
総合型地域スポーツクラブは、仲間、施設、活動プログラム、指導者などが有機的に結合して定期的・継続的な活動をするが、これにより地域住民のスポーツに対する潜在的なニーズを実際の行動に結び付けるとともに、スポーツ活動の継続を可能にする。
総合型地域スポーツクラブは、生涯スポーツの拠点であり、以下のような多様な役割がある。
①ライフステージに応じたスポーツ活動
総合型地域スポーツクラブは、多種目にわたってハイレベルの指導者の指導の下にスポーツ活動を展開するものであり、各人が性・年齢・体力に応じて種目を選択できるだけでなく、個人のライフステージに応じたスポーツの選択が可能である。
②地域コミュニティの形成
ヨーロッパ諸国などでは、総合型地域スポーツクラブはスポーツ活動の場というだけでなく地域住民の社交の場にもなっており、地域コミュニティの基盤となっている。
③子どもたちの社会教育の場
総合型地域スポーツクラブには、子どもから高齢者まであらゆる年齢層の人が参加するので、子どもと大人といった異年齢間の交流が行われることとなる。特に、子どもをこのような異年齢集団の中で育てることは、心の教育にも寄与するものである。
④公共施設の有効利用
小さなクラブが、互いにスポーツ施設の占有を主張すれば公共スポーツ施設は際限なく必要となってくるが、総合型化をすれば、施設使用の調整等が比較的容易となり、公共スポーツ施設などの効率的使用が可能となる。同じことが指導者の問題にも言える。
⑤地域への誇り
地域コミュニティの基盤である総合型地域スポーツクラブに加入することは、地域コミュニティの一員となり、地域への誇りを感じることにもつながるものである。これは、地域の活性化にも役立つものである。
⑥運動部活動との連携・協力による子どもたちのスポーツ環境の整備
総合的地域スポーツクラブから学校の運動部活動への指導者の提供など総合型地域スポーツクラブと運動部活動が連携・協力を行うことなどにより、子どもたちに多様なスポーツ環境を提供することが可能となる。
